介護情報基盤でいう利用者同意は、マイナンバーカードを読み取る作業と同じではありません。現場では、利用目的を説明する、本人または適切な代理人を確認する、必要な範囲の情報だけを扱う、同意・確認の結果を記録する、同意しない場合の代替手順を用意する、という流れに分けて設計します。公式画面や対象情報ごとの取扱いは更新されるため、最新マニュアルを確認しながら事業所ルールを整えます。
この記事の結論
- カード読取、本人確認、利用目的の説明、情報利用への同意は別の確認事項
- カードリーダーは全国一律の必須機器ではないと公式FAQで案内されている
- 同意を得る際は、何のために、どの情報を、誰が、どこまで使うかを説明する
- 代理人対応・意思確認が難しい場合・カード読取不可・同意しない場合の代替手順を作る
- システム画面だけに頼らず、事業所側でも担当者・日時・目的・結果を追えるようにする
最初に分ける4つの確認
受付で「カードをかざしてください」とだけ案内すると、利用者は何に同意したのか分からず、職員も確認漏れを起こしやすくなります。次の4つを分けて説明・記録してください。
| 確認事項 | 確認する内容 | 混同した場合のリスク |
|---|---|---|
| 本人・代理人確認 | 対象利用者本人か、権限・関係を確認した代理人か | 別人の情報を閲覧・登録する |
| カード読取 | マイナンバーカードから資格情報を取得する方法を使うか | カード提示が包括的な同意だと誤解する |
| 利用目的の説明 | 介護サービス、資格確認、ケアプラン、請求等の何に使うか | 目的外利用や説明不足になる |
| 情報利用・共有の同意 | 対象情報、相手、範囲、方法、同意しない場合の扱い | 必要以上の情報を扱う、拒否しにくい状況を作る |
カードリーダーは「同意を取る機械」ではありません
介護情報基盤ポータルは、カードリーダーを利用者のマイナンバーカードから資格情報を取得する際の機器として説明しています。導入は一律必須ではありません。カードを読めたことと、情報利用の説明・同意が完了したことを分けて管理します。
公式資料で確認できること・未確定のこと
厚生労働省の介護情報基盤資料では、自治体・利用者・介護事業所・医療機関などが介護情報を電子的に閲覧できる基盤を整備すること、介護事業所が介護WEBサービスを利用して介護情報を確認することが示されています。また、公開中の外部インタフェース資料には「包括同意情報の連携」「包括同意情報の参照」に関するAPI別紙があります。
一方、すべての情報種類・サービス種別・利用場面で共通する、全国一律の受付会話や紙の同意書様式が確定しているとは限りません。閲覧範囲も調整中・順次拡大予定とされるため、実際の運用開始時は、対象市町村、介護WEBサービスの画面、最新マニュアル、事業所の個人情報保護方針を照合します。

この記事のフローは現場設計のひな形です
公式の確定画面や法定様式を置き換えるものではありません。実際の開始時は介護情報基盤ポータル、介護WEBサービス、自治体、契約・同意書の最新版を確認し、相違があれば公式手順を優先してください。
受付から情報確認までの現場フロー
対象業務を確認する
資格確認、ケアプラン作成、サービス提供、請求など、今回情報を使う具体的な目的を職員側で確定します。
本人または代理人を確認する
氏名・生年月日等で対象者を確認し、代理の場合は本人との関係と事業所ルール上必要な確認を行います。
利用目的と扱う情報を説明する
何を確認し、誰が、どの業務に使うか、同意しない場合にどう確認するかを短く説明します。
同意・意思を確認する
最新の公式画面・書式と事業所ルールに従い、意思確認の結果を記録します。無理に同意を求めません。
カード読取または代替手順を行う
マイナ資格確認アプリ等を使う場合はカードを読み取ります。読取不可・未所持の場合は定めた代替手段へ切り替えます。
必要な範囲だけ閲覧・登録する
担当業務に必要な情報だけを扱い、別人・対象期間・更新日を確認します。
結果と例外を記録する
担当者、日時、目的、同意・確認結果、読取方法、代替対応、エラーを追える状態にします。
利用者への説明文テンプレート
受付での説明例
「介護サービスに必要な資格情報を正確に確認するため、介護情報基盤を利用します。今回は、資格と認定に関する情報を担当職員が確認し、サービス提供と請求のために利用します。マイナンバーカードで確認できますが、カードを使わない場合の確認方法もあります。ご不明な点や同意しない情報があれば、操作前にお知らせください。」
説明文は長くしすぎず、利用目的、対象情報、利用者、代替手段、質問の機会を含めます。実際の対象情報がケアプラン・認定関係書類・LIFEなどの場合は、「資格と認定」の部分を具体的に差し替えてください。
記録しておく項目
同意・確認記録の項目
マイナンバーそのものや不要なカード画像を記録するという意味ではありません。記録項目は利用目的に必要な範囲とし、保存場所、閲覧権限、保存期間、廃棄方法を個人情報保護方針と合わせます。
例外ケースへの対応
| ケース | 基本対応 | 避けること |
|---|---|---|
| カードを持っていない・読めない | 公式・自治体・事業所の代替確認手順へ切り替える | カードがないことだけで必要なサービス説明を打ち切る |
| 代理人が来所 | 本人との関係、代理権・事業所ルール上の確認を行う | 家族という理由だけで無条件に全情報を開示する |
| 意思確認が難しい | 本人の理解を支援し、既存契約・代理・法令・事業所方針に沿って判断する | 急いでいることを理由に形式的な同意とする |
| 同意しない・保留 | 拒否の範囲を確認し、可能な代替方法と業務への影響を説明する | 不利益を誇張して同意を迫る |
| 後から撤回・変更 | 今後の取扱い、既に行った処理、関連部署への反映を確認する | 口頭で受けたまま記録・反映しない |
マイナンバーカード・カードリーダーとの関係
介護情報基盤ポータルのFAQでは、マイナ資格確認アプリを一般的なインターネット回線でマイナンバーカードを読み取り、資格情報を取得するアプリと説明しています。また、カードリーダーの導入は介護事業所に一律必須ではない一方、簡単にミスなく利用しやすいメリットがあると案内しています。
カードリーダーの対応機種・価格・設置要件は、介護情報基盤でカードリーダーは必要?を参照してください。受付フローでは、機器操作より先に「何の情報を何のために確認するか」を確定させます。
同意とセキュリティをつなげる
同意があっても、すべての職員がすべての情報を閲覧してよいわけではありません。厚生労働省の情報安全管理の解説書は、利用目的や管理方法を明示して同意を得ること、個人情報を本来の介護目的以外に使わないこと、第三者提供では内容・範囲を説明することを示しています。
- 同意で許された範囲と、職員の職務権限の両方を満たす場合だけ閲覧する
- 共有IDを使わず、閲覧した職員を追えるようにする
- 画面を印刷・撮影・メール送信する場合は別の漏えいリスクを確認する
- 同意記録とアクセス記録を必要に応じて突き合わせられるようにする
- 目的変更・第三者提供・委託範囲変更時は説明と同意の見直しを行う
端末・ID・ネットワークの対策は、介護情報基盤のセキュリティ対策で詳しく整理しています。
よくある質問
マイナンバーカードを提示すれば同意済みですか?
提示・読取と情報利用への説明・同意は分けて確認します。カードを読み取る前に、目的と対象情報を説明してください。
カードリーダーは必須ですか?
公式FAQでは介護事業所への導入が一律必須とはされていません。ただし、利用方法によって必要な機器・アプリが異なるため、最新の導入手引きを確認します。
家族なら本人の情報を確認できますか?
家族であることだけで全情報を無条件に扱えるとは限りません。本人との関係、代理・同意の範囲、事業所ルール、対象業務を確認します。
同意書は紙で必要ですか?
対象情報や公式手順、契約、事業所方針によって異なります。全国一律の様式を自己判断で固定せず、最新画面・マニュアルと既存契約書を照合してください。
同意を取得してから情報を扱う現場フロー
利用者同意は、カードを読み取れたかどうかとは別の確認です。何の情報を、どの目的で、誰が閲覧するのかを本人に説明し、同意の有無と説明日、説明者、問い合わせ先を記録します。家族や代理人が関わる場合は、本人との関係と権限も確認してください。
同意を得られない、判断が難しい、撤回の申し出がある場合は、現場が独自に閲覧を続けず、制度の手引きと指定権者の案内に沿って扱います。入力できない場合の代替手順を先に決めておくと、同意確認がケア提供の遅れにつながりにくくなります。
| 記録項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 説明 | 目的、情報範囲、閲覧者、撤回方法 |
| 判断 | 本人・代理人の意思、判断日、説明者 |
| 変更 | 撤回、再同意、担当者変更、問い合わせ履歴 |
まとめ
同意はカード操作ではなく、説明・意思確認・記録の一連の業務
介護情報基盤の利用者同意は、本人確認、カード読取、利用目的、対象情報、権限を分けると整理できます。通常フローだけでなく、代理人、意思確認困難、読取不可、拒否・保留の手順を作り、公式仕様が更新されたら説明文と記録項目も見直してください。
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