介護情報基盤のAPIは、介護情報基盤と介護ソフトなどのシステムが情報をやり取りするための仕組みです。介護事業所がAPIを自ら開発するのが一般的な対応ではありません。事業所の担当者に必要なのは、利用中の介護ソフトがどの機能に、いつ、いくらで対応するかを確認し、設定・試験・障害時の責任分界を明確にすることです。
この記事の結論
- 介護事業所がAPI仕様書を読んで自ら開発する必要は通常ない
- まず利用中の介護ソフトの対応機能、対応時期、対象バージョンを確認する
- 初期費用・月額費用・設定支援費と、仕様変更時の追加費用を分けて確認する
- 端末、電子証明書、ID、接続試験のうち、事業所が行う作業を明確にする
- 2026年5月公開の介護WEBサービス連携API仕様書は暫定版のため、正式版への対応方針もソフト会社へ確認する
事業所の役割は「開発」より「確認と契約」
APIの認証方式やデータ項目は、原則として介護ソフト会社や開発委託先が確認します。介護事業所は、「どの業務を減らしたいか」「どの情報を取り込みたいか」を伝え、対応範囲と費用を書面で確認してください。
介護情報基盤のAPIとは
APIは、異なるシステム同士が決められた形式で情報を送受信するための受け渡し口です。介護情報基盤では、資格確認、対象となる介護情報、ケアプランデータ連携などの業務と介護ソフトをつなぐ場面で使われます。
| 利用方法 | 事業所の操作 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 介護WEBサービスの画面を使う | ブラウザで閲覧・入力・送信する | 介護情報基盤ポータル、導入支援事業者 |
| 対応介護ソフトから連携する | 普段のソフト画面で連携結果を確認する | 介護ソフト会社 |
| 独自システムを連携する | 対象業務と要件を整理し、開発・試験を依頼する | 社内システム担当、開発委託先、公式窓口 |
※実際に利用できる機能は、市町村の開始状況、事業所種別、利用製品、公式仕様の提供範囲によって異なります。
介護事業所の業務にどう影響するか
API連携の価値は、画面の裏側の技術よりも、転記・二重入力・送受信の手作業をどこまで減らせるかにあります。ただし、「API対応」と表示されていても、すべてのサービス種別・情報・送受信に対応するとは限りません。
| 業務の例 | 連携で期待される変化 | 事業所が確認すること |
|---|---|---|
| 資格・認定情報の確認 | 画面閲覧や転記作業を減らせる可能性 | 取り込み対象、更新タイミング、古い情報の見分け方 |
| ケアプランデータ連携 | 対応ソフト間の送受信をソフト上で行う | 対応帳票、サービス種別、統合後の移行方法 |
| 例外・エラー対応 | ソフト上で処理結果や未処理を確認する | エラーの表示方法、再送方法、問い合わせ先 |
| 制度・仕様の変更 | ソフト更新で新仕様に対応する | 更新の提供時期、追加費用、更新前の事業所作業 |

「対応予定」だけで導入計画を確定しない
対応時期、対象機能、費用、利用条件が書面で確認できるまでは、本番開始日や業務フローの切替日を固定しないでください。公式仕様が暫定版の場合は、正式版公開後の差分対応も確認します。
介護ソフト会社に確認する7項目
現在の製品・バージョンが対応対象か
製品名だけでなく、契約プラン、バージョン、利用中のサービス種別を伝えて確認します。
どの機能・情報・送受信に対応するか
資格確認、認定情報、ケアプラン等のうち、閲覧・取込・送信のどこまで可能かを確認します。
対応予定日と利用開始条件は何か
ソフト更新の提供日、市町村側の開始、契約変更、設定作業などの前提条件を分けて聞きます。
初期・継続・仕様変更の費用はいくらか
バージョンアップ、追加オプション、設定支援、接続試験、保守、公式仕様変更時の費用を分けます。
事業所が準備する端末・証明書・IDは何か
申請主体、必要台数、設定担当、有効期限の管理、費用負担を確認します。
設定・試験・データ移行は誰が行うか
設定作業、接続テスト、結果確認、職員教育、旧運用からの切替の役割分担を決めます。
エラー・障害・仕様変更時の窓口はどこか
一次切り分け、連絡可能時間、回答目安、代替運用、アップデートの周知方法を確認します。
見積・契約で確認する費用と責任分界
「API対応費用」と一式で書かれた見積では、後から設定・試験・データ移行の追加費用が発生する場合があります。導入前の作業と開始後の保守を分け、誰が何を行うかを確認します。
| 区分 | 見積で分ける項目 | 責任分界の確認 |
|---|---|---|
| 初期対応 | ソフト更新、オプション契約、初期設定 | 遠隔支援か訪問か、端末ごとの設定を誰が行うか |
| 試験・切替 | 接続確認、データ反映確認、職員向け説明 | 利用可否の最終判定、エラー修正、旧運用との並行期間 |
| 継続費用 | 月額・年額オプション、保守、サポート | 対応時間、問い合わせ回数、障害時の代替運用 |
| 仕様変更 | 公式仕様・制度改正に伴うアップデート | 保守費に含むか、別見積か、対応期限はいつか |
契約書と作業分担表の両方を残す
費用だけでなく、設定の完了条件、テストの合格条件、不具合時の切り分け、公式仕様変更への対応を書面で残します。
介護事業所の導入前チェックリスト
API連携の導入前チェック
電子証明書の選び方と端末設定は「介護情報基盤の電子証明書とは」、事業所全体の準備は「介護情報基盤の導入準備チェックリスト」で確認できます。
システム担当者・開発会社向けの技術参考
ここからは、社内に独自システムがある場合や、開発会社へ要件を伝える場合の参考情報です。介護事業所の運営担当者が仕様の全項目を判断するのではなく、技術担当者に確認結果を提出してもらいます。
| 公式資料 | 主な用途 | 確認すること |
|---|---|---|
| 介護情報基盤との連携におけるインタフェース仕様書 | 自治体・関連システムと介護情報基盤の外部連携 | 本書、初期セットアップ編、API別紙、変更履歴、正誤表 |
| 介護保険資格確認等WEBサービスとの連携におけるAPI仕様書 | 介護情報・資格確認、ケアプランデータ連携など | 暫定版・正式版の区分、処理権限、送受信様式、標準仕様との対応 |
| ケアプランデータ連携標準仕様 | ケアプラン帳票・データの標準化 | 仕様版、サービス種別、送信・受信の対象、項目定義 |
| 厚生労働省事務連絡 | 公開目的、適用時期、今後の取扱い | 対象者、移行方針、問い合わせ、更新の扱い |

検索で見つけたPDFを「最新版」と判断しない
WAM NETの介護情報基盤資料一覧から、掲載日、更新日、版数、正誤表、暫定版・正式版の区分を確認します。見積時とリリース判定時の両方で再確認が必要です。
開発会社に提出してもらう確認結果
| 論点 | 確認結果に含める内容 |
|---|---|
| 対応範囲 | 利用主体、対象業務、サービス種別、API、送受信方向、仕様版 |
| 認証・権限 | 電子証明書、事業所認証、ユーザー権限、有効期限、失効・更新手順 |
| データ | 自社項目と標準項目の対応、識別子、コード値、日付、未設定値、差分・全量の扱い |
| 試験 | 正常、入力不備、権限不足、認証期限切れ、タイムアウト、重複、再送、相手側停止 |
| 運用 | 処理結果、未処理件数、最終成功時刻、証明書期限、ログ、障害連絡、代替運用 |
| 変更管理 | 公式情報の確認先、差分評価、回帰試験、リリース判定、事業所への周知 |
要配慮個人情報を扱うため、本番データを開発環境へ持ち込まない、認証情報をソースコードや問い合わせ票に残さない、権限外アクセスを調査できるログを残すといった安全管理も確認します。現場運用を含む対策は「介護情報基盤のセキュリティ対策」も参照してください。
よくある質問
介護事業所がAPIを開発しなければなりませんか?
利用中の介護ソフトが対応する場合、事業所がAPIを開発するのが一般的な対応ではありません。独自システムとの自動連携が必要な場合は、社内システム担当者や開発会社へ相談します。
介護ソフト会社に最初に何を聞けばよいですか?
「現在の製品・バージョンは介護情報基盤のどの機能に対応し、いつから、いくらで使えますか」と確認してください。製品名、バージョン、契約プラン、サービス種別も伝えます。
API対応に追加費用はかかりますか?
製品と契約によって異なります。ソフト更新、追加オプション、設定支援、接続試験、保守、仕様変更時の費用を分けた見積を依頼してください。
暫定版のAPI仕様で対応を決めてもよいですか?
影響調査や見積の準備は進められますが、正式版との差分対応を前提にします。差分対応の費用、期限、再試験、責任分界を契約前に確認してください。
API確認を契約前の質問へ変換する
API仕様を確認する目的は、開発用語を覚えることではなく、介護ソフトや自社システムが必要な情報を安全に受け渡せるか判断することです。対象API、認証方式、利用申請、接続試験、障害時の代替手順を、ベンダーとの打ち合わせで同じ資料に記録します。
仕様書に書かれている項目と、実際に契約する製品・プランで使える項目は分けて確認してください。検証環境で成功しても、本番の権限、データ量、通信制限、個人情報の扱いが同じとは限らないため、リリース前に受入条件を決めます。
ソフト会社へ確認する順番
まとめ
事業所が最初に行うのは、介護ソフト会社への対応状況の確認
介護情報基盤のAPIは業務システム同士をつなぐ技術ですが、介護事業所が技術仕様の全部を理解する必要はありません。利用中の製品・バージョンをもとに、対応機能、時期、費用、事業所の作業、試験、障害時の窓口を書面で確認してください。

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