介護情報基盤の導入準備は、機器購入からではなく、市町村の対応状況、利用する業務、担当者を確認することから始めます。その後、電子証明書、端末、アカウント、利用者への説明、安全管理、動作確認の順に進めます。本記事のチェック欄を使い、未確認の項目に担当者と期限を置けば、準備漏れを防ぎやすくなります。
導入準備で最初に押さえること
- 全国一斉開始ではないため、所在地の市町村の対応状況を確認する
- 導入責任者、設定担当者、現場責任者を決める
- 電子請求受付システムの認証情報と電子証明書の発行履歴を確認する
- 端末・カードリーダーは、利用場面と公式要件を確定してから選ぶ
- 設定だけで終わらせず、利用者への説明、職員研修、権限管理まで整える
介護情報基盤の導入準備【最初に結論】
国民健康保険中央会の「導入準備作業手引き」令和8年5月版は、介護事業所の準備を「利用する端末の準備」「各種設定」「運用準備」の順に示しています。実務では、その前に市町村の開始状況と事業所内の体制を確認し、次の8ステップで管理すると進捗が見えやすくなります。
対象範囲と開始時期を確認する
所在地の市町村と、事業所で利用したい情報・業務を確認します。
推進体制とスケジュールを決める
責任者、設定担当、現場担当を決め、確認期限を置きます。
介護ソフトとベンダー対応を確認する
現在の契約、対応予定、追加設定・費用、問い合わせ先を確認します。
アカウントと電子証明書を準備する
認証情報、証明書の発行履歴、管理者・一般ユーザーを確認します。
端末・読取機器・ネットワークを整える
公式の動作環境と実際の利用場所を照合します。
同意・個人情報保護・安全管理を整える
利用者への説明と、職員が守る端末・アカウントのルールを決めます。
職員研修と利用者向け周知を行う
操作だけでなく、エラー・紛失・誤送信時の連絡方法も共有します。
接続・業務テストを行う
本番の端末と業務動線で確認し、結果と未解決事項を記録します。
準備状況を30秒で判定する
導入準備クイックチェック
| チェック結果 | 次に行うこと |
|---|---|
| 5〜6項目 | 未完了項目を処理し、設定・業務テストへ進む |
| 3〜4項目 | 未確認項目ごとに担当者と期限を決める |
| 0〜2項目 | 市町村の状況、責任者、電子請求受付システムの認証情報から確認する |
※この判定は、国や国保中央会による認証・適合判定ではありません。事業所内で準備の現在地を共有するための目安です。
STEP1 対象範囲と開始時期を確認する
介護情報基盤は、2026年4月1日以降、標準化対応とデータ移行が完了した市町村から順次利用が始まります。全国の事業所が同じ日に切り替わる仕組みではありません。まず、介護情報基盤ポータルの「市町村(保険者)の対応状況」で所在地を確認し、市町村や国保連合会から届いた案内と照合します。
確認結果は日付と一緒に記録する
| 記録項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 所在地 | 都道府県、市町村、保険者番号 |
| 対応状況 | ポータルに表示された状況と確認日 |
| 利用したい業務 | 資格確認、認定情報、ケアプラン情報など |
| 公式案内 | 市町村・国保連合会の文書名、受領日、URL |
| 次回確認日 | 未対応・未公表の場合に再確認する日 |
制度全体と事業所への影響は「介護情報基盤とは」、公式情報の探し方と初回登録は「介護情報基盤ポータルとは」で確認できます。

市町村の対応前でも、準備を止めない
対象情報の利用開始前でも、担当者決定、端末・証明書の確認、ベンダーへの問い合わせ、安全管理ルールの整備は進められます。開始日が確定してからすべて着手すると、証明書取得や職員周知が間に合わない可能性があります。
STEP2 推進体制とスケジュールを決める
「システム担当者だけの作業」にすると、利用者への説明や現場の業務変更が後回しになりやすくなります。少なくとも、意思決定、設定、日常利用、安全管理の役割を分けます。小規模事業所では兼任でも構いませんが、誰が最終確認するかを明記してください。
| 役割 | 主な担当 | 決めること |
|---|---|---|
| 導入責任者 | 経営者・管理者 | 利用範囲、予算、開始判断、委託先 |
| 設定担当者 | 事務・システム担当 | 証明書、端末、アカウント、問い合わせ |
| 現場責任者 | 請求・受付・ケア担当 | 利用場面、説明方法、業務フロー |
| 安全管理責任者 | 管理者・システム担当 | 権限、持ち出し、事故時の連絡、研修 |
進行表には「作業」「担当者」「期限」「完了条件」「証跡」を置きます。完了条件を「確認した」だけにせず、公式URL、ベンダーの回答メール、設定画面、テスト結果など、後から確認できる情報を残すと引き継ぎや更新が容易です。
STEP3 介護ソフトとベンダー対応を確認する
介護WEBサービスはブラウザ等から利用しますが、事業所の業務効率化には、現在の介護ソフトとの役割分担や連携範囲も重要です。「介護情報基盤対応」という表現だけで判断せず、利用中の製品・契約プラン・バージョンを示して、機能単位で確認します。
介護ソフト会社への確認項目
導入支援事業者への依頼は必須ではありません
公式手引きは、事業所が別紙の手順書を見て自ら作業することも認めています。外部へ依頼する場合は、端末台数、機種、証明書の状況、希望する接続支援の範囲を伝え、作業内容と費用を見積もってもらいます。
STEP4 アカウント・電子証明書を準備する
最初に、電子請求受付システムのユーザーID・パスワードと、利用予定端末の電子証明書を確認します。公式の詳細フローでは、電子請求受付システム上で証明書の発行履歴を確認し、履歴に応じて介護保険証明書または介護DX証明書を用意します。
| 確認項目 | 完了条件 |
|---|---|
| 電子請求受付システム | 認証情報を確認し、保管・再発行担当者が決まっている |
| 電子証明書 | 発行履歴、証明書の種類、利用端末、期限を確認した |
| 事業所ユーザー | 介護WEBサービスへ認証できる |
| 管理者ユーザー | 一般ユーザーと権限を管理できる |
| 一般ユーザー | 実際に利用する職員が登録されている |
| アプリ情報 | マイナ資格確認アプリを使う場合、登録結果を確認した |

電子証明書は利用開始直前まで待たない
国保中央会の手引きでは、国保連合会の運用等によって取得まで1か月程度かかる場合があると案内されています。証明書の選び方と設定は「介護情報基盤の電子証明書」を確認し、最新の公式手順書に沿って進めてください。
STEP5 端末・カードリーダー・ネットワークを整える
端末は、介護WEBサービスと、利用する場合はマイナ資格確認アプリの両方の最新動作環境を確認します。カードリーダーは全事業所に一律必須ではありません。マイナンバーカードを読み取る場所、担当者、端末、接続方式を決めてから候補を選びます。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 端末 | OS、更新状況、証明書、利用者、設置場所 |
| 読取機器 | 公式対応条件、型番、接続方式、必要台数 |
| ネットワーク | 安全なインターネット接続、公衆無線LANを使わない運用 |
| 画面・配置 | 利用者や来訪者から個人情報を見られにくい場所 |
| 持ち出し | 許可、記録、保管、紛失時の連絡と停止手順 |
カードリーダーの要否・対応機種・購入前テストは「介護情報基盤のカードリーダーは必要?」、端末や支援を含む費用項目は「介護情報基盤の費用はいくら?」で整理しています。
STEP6 同意・個人情報保護・セキュリティを整える
介護WEBサービスでは、一部の介護情報の閲覧に利用者の同意情報が必要です。公式資料は、市町村が介護情報基盤との連携で登録する方法と、介護事業所が画面から登録する方法を示しています。実際の運用では、本人確認、説明、同意状況の確認・登録・取り消しを、誰がどの場面で行うか決めます。
情報安全管理チェック
端末を紛失・盗難し、アカウント情報が外部へ流出した可能性がある場合、公式手引きは介護情報基盤ポータルへ連絡して停止処理を行うよう案内しています。事故が起きてから連絡先を探すのではなく、事業所内の初動手順に組み込んでください。
STEP7 職員研修と利用者案内を行う
国保中央会の導入準備作業手引きは、介護情報基盤の運用には本人確認や同意取得など利用者の協力が必要なため、利用者向けの周知を行うよう案内しています。職員研修では、画面操作だけでなく「何のために確認するか」「同意が確認できないときはどうするか」「事故時に誰へ連絡するか」まで扱います。
| 対象 | 周知・研修内容 |
|---|---|
| 経営者・管理者 | 責任体制、権限、委託先、事故対応、見直し時期 |
| 請求・受付職員 | 本人確認、利用者登録、同意状況、問い合わせ対応 |
| 現場職員 | 閲覧目的、端末操作、覗き見・持ち出し・誤入力の防止 |
| 利用者・家族 | 利用目的、本人確認、同意、問い合わせ先 |
STEP8 接続・業務テストを行う
設定後は、管理者だけでなく実際に利用する一般ユーザーで確認します。利用予定の端末・ネットワーク・場所を使い、ログイン、権限、対象情報の確認、同意の扱い、必要に応じてカード読取までを通します。
利用開始前テスト
テストの完了条件
「ログインできた」だけで完了にせず、実際の業務担当者が本番想定の流れを実施し、未解決事項、問い合わせ先、再テスト日を記録した状態を完了とします。
役割別の最終チェックリスト
経営者・管理者
- 利用範囲、責任者、予算、利用開始の判断が完了している
- 安全管理規程、委託先、インシデント時の連絡系統を確認した
- 利用開始後の評価日と、制度・仕様更新時の担当者を決めた
請求・受付・現場職員
- 自分のIDでログインし、必要な情報だけを確認できる
- 本人確認、同意、利用者への説明の流れを理解している
- 誤入力、誤送信、端末紛失、システム障害時の連絡先が分かる
システム担当・ベンダー
- 端末、OS、証明書、アカウント、アプリの設定記録がある
- 介護ソフトとの役割分担、対応範囲、追加費用が明確になっている
- 権限変更、端末交換、証明書更新、障害時の手順がある
導入準備で起きやすい失敗と防止策
| 起きやすい失敗 | 防止策 |
|---|---|
| 開始時期を全国一律だと思う | 市町村の対応状況と確認日を記録する |
| 先に機器を購入する | 利用場面、端末、公式要件、助成条件の順に確認する |
| 証明書の確認が遅れる | 発行履歴と取得期間を早い段階で確認する |
| 「ソフトが対応予定」だけで進める | 機能、プラン、時期、費用、支援範囲を書面で確認する |
| 管理者だけが操作できる | 一般ユーザーと本番業務の動線でテストする |
| 設定後の更新担当がいない | 証明書期限、職員異動、公式資料の更新日を定期確認する |
無料チェックリストの使い方
無料の「介護情報基盤対応チェックガイド」には、クイック診断、端末台帳、ベンダー確認票、情報安全管理、30日アクションプラン、最終25項目チェックを収録しています。導入会議では、未着手・確認中・完了を付け、未完了項目へ担当者と期限を記入してください。
チェックリストを導入可否の判定に使う
チェック項目は、埋まった数を競うものではありません。対象範囲、責任者、公式根拠、試験日、未完了時の代替策が記録されているかを確認し、未完了の項目が安全・同意・接続・証明書に関わる場合は開始日を確定しない判断も必要です。
準備会議では、項目ごとに「担当者」「確認資料」「期限」「完了の証拠」を割り当てます。ベンダーの回答を口頭で終わらせず、製品名・版・対象サービス・問い合わせ日時を残すと、制度改正や担当者交代後も再確認できます。
完了判定の4条件
まとめ
介護情報基盤の導入準備では、市町村の開始状況と利用業務を確認し、責任者、介護ソフト、証明書、端末、アカウント、利用者への説明、安全管理、業務テストを順番に整えます。公式資料は更新されるため、作業日だけでなく確認した資料名・版・URLも残してください。
自事業所だけで整理するのが難しい場合は、現在の業務、利用中のソフト、端末環境を確認したうえで、必要な対応範囲を整理できます。個別の導入・システム改修については「お問い合わせ」からご相談ください。
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